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定年後をどうやって暮らそうか、と思案している方々へ

アマルフィ(Amalfi)

​​「ナポリを見て死ね」。昔はそう言った、らしい。それほど「ナポリは美しい」という意味なのだが、少なくとも母(大正生まれ)はそう言って幼い私の想像力に火を点けた。
 
が、10年前から自前のボートで地中海を航海し始めて知った事は、陸地から見る海を取り込んだ風景と、海から見上げる陸の風景は、全然違うことだ。例を挙げれば、ニース、モナコ、ポルトフィーノ、そしてナポリも、海を背景にしているからこそ、これらの土地が絶景として謳われた。海から見れば、見逃してしまっても当たり前のような土地なのだ。わずかにポルトフィーノだけは、海から見上げても地形が複雑に入り組んでいるのが分かるので、陸から見れば一見に値するだろうと想像できた。これらの「景勝地」を、私は陸からも眺めたのです、念のため。そして古の人々に同感しました。
 
ナポリのアマルフィ・コーストも、バスに乗って走って「成程」と思った。船で行けば、ナポリは単に大きな港。ナポリ空港に降り立てば、市中及び港へ向かうバス(Ali Bus という名前)に乗って確か三つ目のバス停がナポリ港。初めて降り立った時は、やたら広くて混雑する港内を出た方が分かり易いだろうと判断して、30分以上も整理の行き届かない港外周辺の道路をテクテク歩いた挙句に、やっとプロチダ及び近辺の島々に向かうフェリーの発着場所に辿り着いた。何のことはない、バスを降りた所から左へ10分も歩けば行き着いた場所だった。混雑した所がとにかく嫌いだというのが災いした。ともあれ、45分でプロチダに到着。簡単、便利、その上安価。
 
春はイギリスも美しい。石楠花が咲き始める季節に出かけてしまうのを惜しみながら、プロチダにやって来た。前回は、冬の間にボートを何処に保管するかを案じ、今回は夏のシーズン前にどうやってナポリから逃げ切るか、が最大の課題だった。じゃあ何故去年さっさとナポリを離れなかったのか、と言われそうだが、実はナポリに未練があったのです。美しい所を見逃したのではないかと。

​ところが着いてみれば、プロチダは居心地が良くて、「最大の課題」をほっぽり出してノンビリしてしまった。さっさと腰を上げないと、6月15日になる前にナポリ一帯から離れないと、停泊料だけで百万や2百万が軽く飛んで行く!と、我と我が身を叱咤しなければならなかった。

 
では、どういう経路を取るべきか。カプリ島に寄ろうか、それともアマルフィに直行か。直行しよう。どちらも停泊料が高いはず。当然必要な箇所だけに削るべし。その先は? サレルノ(Salerno)は大きな港だから避けて、その隣のマリーナ・デイ・アレキに行けば、アグロポリ(Agropoli)、アッチアロリ(Acciaroli)、カメロータ(Camerota)と繋いで行くのは、午前中2時間ずつの航行で気楽な旅になるはず。
 
「ホエン・アー・ユー・ゴーイング・トウー・アマルフィ?」と、連れが聞く。彼は学生時代にイタリアを自転車で旅したのだ。さぞかしお尻が痛かった事だろう。そういう実際的な苦難はさて置いて、誰もが夢見るアマルフィ・コーストに彼もやって来た。もちろん切り詰め経済で、素敵な出会いも期待して。かれこれ半世紀前の事だ。「あそこにもう1度行ってみたい。今度は自前のボートで(私の物は彼の物らしい)、気の向くままに」。しかし、それは果たせなかった。90歳になる母親が大手術を受ける事になって介護に行ったのだ。良い息子だ。私も出来るだけ待ったのだが、時間切れ。そのアマルフィに、どうせ「ありません」と言われるだろうと予想して電話すると、イタリアとしては珍しく英語で返答があって、「着いたら電話してくれ」。しかも素敵なバリトンで。
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夜明けのプロチダ島周辺。
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彼方にヴェスヴィオスを見る。
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前方にカプリ島が浮かぶ。
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アマルフィのマリーナ。
​プロチダを発って2時間後にカプリを横目にソレルノ湾に入って、アマルフィを目指した。着いたので電話すると、男盛りの男性が現れて私のボートに乗り移り、ハンドルを取った。混雑していて、とてもじゃないが気が気じゃない。が、そこは慣れたもの。上手に割り込んで手際よく桟橋につけた。何と古き良きイタリアのカンツオーネまで流れている。雰囲気満々。さすがに私も感動。桟橋は咲き乱れる花に飾られて、迫り来る崖に向かって伸びていた。

​で、次は実際的な停泊手続き。ボートの登録書はこれ。「ノー」。パスポートは?「ノー、ノー」。停泊料は?「90ユーロ、現金で」。書類が要らなくて現金払いというのは、売上を計上しないという事。言い換えれば税金を払わない。(こういうやり方がこの先増えていった。)値段は有名な割には安い。が、エージェントが入ると、実際の何倍もの値段をふっかけられる。で、トイレとシャワーは?トイレは公衆便所。シャワーは露天で「使うな」との忠告。クルーザーにはウエット・ルーム(シャワーとトイレ)が付いているが、小さいヨットには無い事も多い。しかし良くしたもので、便宜は計れる。シャワーはコクピットで水浴び、トイレはカフェに行く。
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水際沿いに町が建つ。
トイレで面白い事があった。管轄は地方自治体だが、その在り方は土地によって異なる。アマルフィでは、€1硬貨を入れて入る。私はグズグズしていたので(5秒ぐらい)、開かなくなってしまった。(オヤ、マア!€1硬貨は一つしか無いのに...)と思っていると、ドアが開いて若い女の人が出て来て「このドア持っててください、紙がないんです」。そして隣の男子用のドアを叩いて、出て来た男性に紙をロールごともらって(彼女のボーイフレンド)女子用に舞い戻った。その内もう一人若い女性がやって来て、私の後ろに並んだ。さっきの女性が出て来たので私が入り、私と入れ替わりにもう一人の女性が入って、私達全員協力して次の人のためにドアを持っていたので、3人の女が€1で用を済ませた。考えてみれば、バカみたいな話。
​折角アマルフィにいるのだから、もう少しマシな話は出来ないのか。出来ないのだ。まだ5月だというのに、小さい町は何処もかしこも人で埋まっていた。恐ろしい数の人がフェリーから溢れ出て来る。教会堂広場に行った。教会堂の階段に座ってアイスクリームを食べるのはマア良いとして、食べかすを階段に置いて行くのだ。あんまりではないか?仮にも教会堂の階段なのだ。イタリア人が「観光公害」を嘆く意味がよーく分かった。何処に行っても満杯・満席。イタリア人らしく、どの店も工夫を凝らして飾ってあるのだが、あまりの人、人、人に食傷した。誰もが「かの有名なアマルフィに来た」ので、その証拠品とばかりに「自分(達)を入れて写真を撮り」、「ランチにピザか魚介入りのパスタを食べて」帰って行く。それだけ。
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フェリーを待つ観光客。
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可愛らしく飾った店。
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フェリーに乗り込む観光客。
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これは町中にあった噴水。二人仲良く傘の下で「雨」ならぬ「噴水の水」から身を避けている。
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どうやって木を銅の練り物の中に入れたのか?根はどうやって水を吸うのか?なぞなぞのような銅像?木? アンドレア・ロッジ(Andrea Roggi)という人が作ったらしいが、題して「KOI NO YOKAN」。「恋の予感」?日本語のようだが、何故?異国趣味?ベラスコも「蝶々夫人」を書いてプッチーニがオペラにして有名にしているし...? でも日本人以外は、誰も意味が分からないだろうに。
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辛抱強く順番を待つ観光客。
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アマルフィの教会堂。
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崖を補強するためだろうか?コンクリートのアーチを埋め込んである。
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絶壁の端ギリギリに建物をそそり立たせているが、高所恐怖症ではない私でも、ちょっと心配になる。
翌朝、フェリーがやって来る前の早朝の町を歩いた。岬の方にも足を伸ばした。海沿いの狭い土地だ。切り立った崖と海の間に細長い町を造っているのだが、崖に木が埋め込まれたように生えている。崖を植物で埋め尽くしている。気候が良いので植物がよく育つのだろうが、代々の住民が工夫を凝らして作り出したからこそ出来た、美しい風景だと理解した。もう一つ感心したのは、海の水が透き通って綺麗なことだ。あれだけフェリーがやって来て、レジャー・ボートも走り回るのに、イタリアの海はリグレ海岸から始まって、汚い水であった所がない。この後イオニア海、アドリア海に回ればあるのかもしれないが、確かにベニスの水は汚いが、その際は、改めてご紹介しよう。
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絶壁に埋め込んだような形で建物が並んでいるが、地盤が余程固くないと出来ない作業だろう。
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澄んだ水。
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アマルフィの町。
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